2022.09.09
# ライフ

コロナ禍の生活変化で「歯周病」が進行中…「糖尿病」との“ネガティブシナジー”にもご用心

宮本 日出 プロフィール

「80歳で20本」が提唱される深い理由

「8020運動」とは「80歳になっても自分の歯を20本残そう!」とする運動で、1989年から日本歯科医師会と厚生労働省が推進しています。

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「食は健康の源」として、「20本自分の歯が残っていれば、食事に困ることはない」との基準で設けられました。2022年に達成率50%を目標に掲げていましたが、前倒しになり2017年には51.2%と目標を達成しています。

8020推進財団の調査では、抜歯の原因は歯周病が第1位です。歯周病が発症する40歳以降で抜歯件数が増加することが分かっていますが、早期に目標を達成できたのは歯周病対策が功を奏した結果と言えます。ちなみに抜歯をする人の持病で最も多いのも糖尿病なのです。

咀嚼は唯一、われわれが自分で意識してできる物理的な消化過程です。胃や腸のコントロールは直接できませんが、噛むことは自分の意識で管理することができます。

自分の歯が20本ないと咀嚼が不自由になり、お米やパン、麺類などの炭水化物が多い食事になったり、お菓子の摂取量が増えることになったりと、栄養状態にかなり影響を与えます。

歯の本数が減り、咀嚼が思うようにできなくなると口腔機能が低下し「口の虚弱」状態になりますが、この状態を「オーラルフレイル」と呼びます。「食べこぼす」「むせる」「滑舌が悪い」「飲み込みにくい」「食事のバランスが悪い」などがオーラルフレイルのサインです。

オーラルフレイルを放置すると「全身フレイル」から「サルコペニア(筋肉減弱)」、要介護へと死亡リスクが高まっていきます。

歯の本数が少ないと閉じこもりがちになったり、あるいは歯の本数が多い人ほど笑う頻度が高くなったりすることもわかっています。

口は「食べる喜び」「話す楽しさ」「笑う幸せ」をもたらす大切な体の一部です。感染症対策をして安心・安全な生活を送るためにも、健康の維持を図り充実した日々を過ごすためにも、生活の質を向上させ豊かな人生を迎えるためにも、あなたの口と歯を大切にいたわってあげてください。

【参考文献】
・深井穫博「COVID-19が日本の口腔保健・歯科医療に与えたインパクト」日本健康教育学会誌 Vol.30:181-189, 2022
・一般社団法人日本生活習慣予防協会「コロナ禍の生活変化で糖尿病リスクが高まっている! 糖尿病判断の基準HbA1c値に関する意識・実態調査
・糖尿病ネットワーク「新型コロナは糖尿病のリスクを高める 糖尿病の症状に注意 880万人を調査
・特定非営利活動法人日本歯周病学会「糖尿病患者に対する歯周治療ガイドライン
・医薬通信社「マスク着用時『自分の口臭が気になる』が約6割 第一三共ヘルスケアが調査
・公益財団法人8020推進財団「職域等で活用するための歯科口腔保健エビデンス集2021年度版
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