病院嫌いのデメリット

病院好きの人間はそう多くないだろうが、病院好きの犬猫も多くない。特に猫は病院に来るだけで興奮するか、固まってしまい、ストレスをためこみ、最悪の場合、来院ストレスが原因で具合が悪くなることもある。犬も猫も、怖いことがあった場所を覚えるので、一度怖い思いをさせてしまうと、次回以降の来院が格段に困難になってしまう。

通院で緊張したり、恐怖を感じてしまう猫は少なくない。photo/iStock

「愛犬・愛猫が病院嫌いだと、ちょっとした不調があっても躊躇したり、定期健診などができないため、病気の早期発見・早期治療が難しくなる、というデメリットがあります。『具合が悪そうだけど、病院に連れて行くのが大変だから様子を見よう』が積み重なって、気がついたときにはもう余命宣告をされるくらい重症化していた、ということにもなりかねません」というのは、獣医師で作家の片川優子さんだ。

今回は、ペット、とくに愛猫を病院嫌いにさせないために、普段からできることをまとめていただいた。

片川優子さんの連載『ペットと生きるために大切なこと
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以下より、片川さんの寄稿です。

 

まずは「移動」に慣らそう!

散歩に行かない家猫は、家の外に一歩出るだけでも大冒険だ。来院時間前にペットオーナーから、「どうしても猫を捕まえられないので遅刻します」もしくは「今日はキャンセルします」という連絡をもらうこともある。

「動物病院にペットを連れていく」というのは、一大イベントだ。不思議なもので「よし!動物病院に行くぞ」という飼い主の意気込みはペットにも必ず伝わる。普段しまってあるペットのキャリーケースをおもむろに出したりしたら、なおさらだ。「キャリーケースを出していたら、いつのまにか猫がどこかに隠れてしまって」という話はよく聞くが、「キャリーケース=嫌な場所に連れて行かれる」と猫が思っているとしたら、逃げるのも当たり前の話なのかもしれない。

では具体的にどうすれば良いのだろうか。
猫の場合は、とにかく普段からキャリーケースに慣らしておくことが大切だ。病院に行く時だけでなく、災害などで緊急避難しなければならない場合にも、キャリーケースに慣らしておくことは非常に大切なので、やっておいて損はない。

元々猫は狭いところに入るのが大好きだ。だったらその習性を利用して、キャリーケースを普段から部屋の中にドアを開けた状態で置いておき、リラックスできる寝床として使ってもらうのはどうだろうか。

プラスチック製のキャリーケースだったら、上半分が取り外せるタイプ(下写真参照)を選び、下半分だけを常に部屋に置いておくのもよい。扉を外した状態でお気に入りの毛布を中に敷いておいたり、おやつはキャリーケースの中でだけあげることにしてもよいだろう。

選ぶなら、横の側面だけでなく、上からも開けられ、上下が外せるタイプだとキャリーケースに慣れやすく、使いやすい。写真提供/片川優子
こんな感じに上下が分解でき、普段から部屋に置いて慣らすことも可能。写真提供/片川優子
片川さんの愛猫は、こんな感じでキャリーバッグの中でお昼寝中。写真提供/片川優子

とにかくキャリーケースを部屋になじませ、猫にキャリーケース自体に慣れてもらうことから始めよう。今現在使っているものにすでに嫌なイメージがついてしまっている場合は、思い切って買い換えて、一から始めるのもおすすめだ。