私たちは「死ぬまで働かないといけない」のか? 意外と誤解している「定年後の実態」

現役世代と高齢期の働く姿の大きな違い

話題の新刊『ほんとうの定年後 「小さな仕事」が日本社会を救う』では、リクルートワークス研究所研究員・アナリストの坂本貴志氏が、豊富なデータと事例から「幸せな定年後の生活」の姿を明らかにしている。

ほんとうの定年後』では、定年後の仕事に関する実態を「15の事実」としてまとめている。逆に言えば、定年後の仕事に関して、世の中には事実とは異なる様々な誤解が存在している。

そこで、本稿では定年後をめぐる代表的な誤解を7つに整理し、その一つひとつに対して、「ほんとうの実態」はどうなのかということについて回答をしていきたい。

 

「死ぬまで働かないといけない」という誤解

数々の統計データや多くの当事者の方々からのヒアリングを通して見えてきた定年後の「15の事実」。これに照らして、世の中に存在している定年後の仕事に関する誤解を解いていこう。

定年後の「15の事実」

定年後をめぐる誤解の1つ目にあげたいのは、生涯現役時代においては「死ぬまで働かないといけない」というものである。

まずこれは当然のことながら、死ぬまで働くというのは言い過ぎである。一方で、このような意識が広まることの背景はよくわかる。日本社会で急速な少子高齢化が進行している中、過去の世代が受け取っていた高額の年金を受け取ることはもはや不可能になっている。実際には、高齢者に関しても死ぬまでというのは言い過ぎとしても、将来的には健康なうちであればますます働くことは当たり前になっていくだろう。

ただ、こうした議論は、「働く・働かない」という二項対立の意識が前提になっていると考えられる。

実際には、「働く」ということにはかなりグラデーションがある。つまり、総務省「労働力調査」上では、週40時間働く人も就業者であるし、週1時間働く人も就業者なのである。

多くの人がイメージする「働く」というイメージは現役世代の仕事を通じて形成されるものだと思うが、週20時間の仕事あるいは週10時間の仕事というのは現役世代の「働く」のイメージとはだいぶ違うのではないだろうか。そして、実際には、あくまでこうした短時間かつ短期間の「小さな仕事」が高齢期の典型なのである。

そうして考えてみると、現役世代の人々が抱く「死ぬまで働かないといけない」というイメージと実際の高齢期に働いている人々の姿には、かなり大きなギャップがあるのではないかというのが私の実感である。

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