教育ジャーナリスト・おおたとしまささんの最新刊『不登校でも学べる 学校に行きたくないと言えたとき』(集英社新書)は、実例やデータをもとに、フリースクールから不登校専門塾、不登校特例校、教育支援センター、通信制高校、公立校や私立校などを徹底取材した一冊だ。令和の今の「不登校」に関する情報をまとめたものと言える。
そこから見えてくる現実の中で、「学校に行かない」ことが学べないとは言い切れない状況も明らかになる。学校に行かないこと、行きたがらないことへの対応も変化しつつあることもわかる。そこで本書より抜粋掲載、「不登校」というキーワードから「学び」「教育」についてお伝えする。
第5回前編【「必要なのは病院よりギフテッド教育」…不登校の子どもが学校に行かないと決めるまで】では、小学校入学してまもなく学校に行き渋るようになった子や、学校の授業が退屈で仕方がなかったギフテッドの子どもを持つ家庭のエピソードをお伝えした。後編では、彼らのその後と、不登校経験者が集まる学校と名門校の共通点などを実例を交えてお届けする。
不登校経験者が集まる学校と名門校の共通点
ユタカはその後、サッカーで自信をつけ、徐々に小学校に復帰しました。中学校ではクラブチームでサッカーを続け、進学校としても有名なサッカー強豪校にサッカー推薦で進学しました。大学進学を目指して、学校の勉強も頑張っています。

タクマは、中学受験を選択しました。中学受験塾での授業では、タクマは荒れませんでした。授業の難易度もスピードもタクマにちょうど良かったのです。私立の中高一貫男子校に進学できました。中学校の担任は発達障害にも理解があり、手慣れた様子で対応してくれます。おかげで、何年も不登校だったことが嘘だったかのように、中学校には問題なく通えています。
意外に思えるかもしれませんが、どちらも有名進学校の校風の中で、水を得た魚になったのです。
実は、中学受験で人気の進学校には発達障害と診断されている生徒や、診断はされていなくても家族や教員からは「グレーゾーンかな?」と思われるような特性をもつ子どもも多いのです。先生たちもそういう子たちの扱いに慣れています。