2022.09.13

人類史の「空白」を超古代文明が埋める!?
失われた大陸アトランティスの謎に迫る!

地震と大洪水に見舞われ、一日にして海中に消えたと言われる「アトランティス大陸」。太平洋上にかつて存在したと噂される「ムー大陸」。
多くの謎に包まれ、実在すら証明されていない、「失われた大陸」が語り継がれてきたのはなぜか? そしてなぜこれほどまでに私たちの心をつかむのか?
西洋古代史・西洋神話研究者である庄子大亮氏が、魔力的魅力を放つこの失われた大陸と、西洋由来の神話・伝説が、なぜ日本にまで影響を及ぼすことになったのかを考察する。
人間が求めずにはいられない壮大なロマンに迫る!
(※本稿は庄子大亮『アトランティス=ムーの系譜学』を一部再編集の上、紹介しています)

発見!? アトランティス大陸

「失われた大陸、アトランティス発見か!?」2013年5月上旬、このような報道が世界を駆け巡った。日本の有人潜水調査船「しんかい6500」が、ブラジル沖合、大西洋の水深900メートルの地点において、周辺の地が大昔に陸上にあったことを示す証拠、すなわち陸上でしか組成されない花崗岩を確認したことがきっかけである。

特に日本では大きなニュースになり、当日から翌日にかけてほとんどのメディアがこの話題をアトランティスの名と共に詳しく紹介していたし、トップ項目として扱った報道番組もあった。こうした反応の理由として、調査船が日本のものだったことがまず挙げられようが、それにしても反響が大きかったといえる。
「大災害で海に沈んでしまったとされる謎の陸地」について、日本での潜在的関心がいかに強いかを物語る出来事であった。

アトランティスをはじめとした「失われた大陸」は、未知の文明が栄えた地としてよく想像される。
しんかい6500の報告についていえば、その周辺が本当に陸地だったとしても(確認にはさらなる調査が必要だという)、波による浸食や岩盤の変動などによって海に沈んだのは数千万年前と推定され、類人猿とは異なる進化の道を人類が歩み始める500万年前よりもずっと遡る。
したがって文明が栄えた陸地とはいえないのだが、そんな冷静な判断はさておき、古代のロマンを感じた人も多かったことだろう。

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太平洋に消えたムー大陸の起源は「日本」!?

大西洋に沈んだと伝えられてきたアトランティスのほかに、太平洋にも「ムー大陸」という超古代に栄えた陸地・国家があり、大変動で海に没したと主張する者がいる。
そのムー大陸については、日本でこんな逸話があった。

米国人がムー大陸実在を論じた書が、太平洋戦争中に訳され出版されたのだ。軍部の高官もからんで、「日本は太平洋に存在した太古の陸地、ムー大陸と起源においてつながりを有しており、ムー大陸に栄えた帝国の支配権や威光を受け継ぐのは日本である」と唱える者たちが遂行したことだった。

米国との戦争中に、敵国の書をわざわざ翻訳していたことにまず驚かずにいられない。関わった日本人の主張を聞くとなおさらである。
そうした「奇説」は当時から批判もされ、やがて表立っては顧みられなくなったけれども、そこにはロマンとはまた違った何かも感じられる。当時の関係者が取り憑かれることになった、何かが。

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