2022.09.13

哲学者プラトンが大陸伝説のはじまり!?
いまだ解明されない「1万2000年前」の謎とは?

地震と大洪水に見舞われ、一昼夜にして海中に消えたと言われる「アトランティス大陸」。太平洋上にかつて存在したと噂される「ムー大陸」。
多くの謎に包まれ、実在すら証明されていない、「失われた大陸」が語り継がれてきたのはなぜか? そしてなぜこれほどまでに私たちの心をつかむのか?
今からおよそ1万2000年前、大西洋上に存在したとされるアトランティス。
栄華を極めたと伝えられる大陸伝説の始まりは、なんとソクラテスの弟子でありアリストテレスの師である哲学者・プラトンの著作『ティマイオス』と『クリティアス』だった!?
西洋古代史・西洋神話研究者である庄子大亮氏が、いまだ解明されていない謎について考える! (※本稿は庄子大亮『アトランティス=ムーの系譜学』を一部再編集の上、紹介しています)

伝説のはじまり、プラトンの著作

古代ギリシアにおいて直接民主政の制度を最も整え発展した国家が、アテネ(アテナイ)である。そのアテネに生まれた哲学者プラトンが、宇宙の生成から国家論へと展開していく著作『ティマイオス』と『クリティアス』において伝えたのが、アトランティスだ。
換算すると現代から1万2000年ほど前、大西洋上にあった陸地およびそこに存在したという国家である。住民たちは繁栄を謳歌していたが、傲慢になり、神罰による地震と洪水でアトランティスは海中に没したのだという。

プラトンが残した著作群は対話篇と呼ばれ、そこではプラトンの師ソクラテス(前469頃~前399年)が当時の著名な知識人と繰り広げる対話によって、ソクラテスおよびプラトン自身の思想が展開されている。
ソクラテスはじめ実在する人物が登場している場合が多いが、対話は架空である。プラトンがこうした形式を用いた理由として、著作を残さなかった師について生き生きと語り伝える意図がまずあったのだろう。

初期の対話篇はソクラテスの思想を伝える性格が強いと推測される。また対話形式には、複数の人々の会話によってわかりやすく、かつ多角的に論じることができる意義もある。
なおプラトンは対話篇中には直接登場しないが、次第に著者自身の考えが色濃く反映されるようになるのも理解できることで、後の著作になるほどプラトンの思想が前面に出ていると考えられる。

アトランティスについて語られる『ティマイオス』と『クリティアス』は、プラトン晩年(前350年代)に著された対話篇である。
これらは、国家はいかにあるべきかという問題を考えていたプラトンが理想的な国について論じた著作、『国家』の続編と位置づけられている。

PLATON photo by iStock

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