裁判所から「娘の後見人」の立場を奪われ、人生をメチャクチャにされた夫婦…その「戦いの記録」

憤死した母

知的障害のある娘のために裁判所と闘い、67歳で命を落とした母親がいる。母親は、障害を持つ娘のために良かれと思い、成年後見制度を利用して娘の成年後見人になったが、やがてこの制度の大きな欠陥に気づいた。

成年後見制度の運用面を所管する家庭裁判所が、障害者本人と家族の意見を無視して、家裁の考えを強要することだ。家族が反対しても、家裁は聞く耳を持たず、強引に異論を封じ込めてしまうのだ。

後で詳しく触れるが、母親が、家裁のやり方に反発して抵抗すると、家裁は、母親から成年後見人として娘の財産を管理する権限を剥奪。力づくで従わせようとした。その過程で母親は心筋梗塞を起こして急死した。憤死と言って良い。

〔PHOTO〕iStock
 

母親は生前、私にこう話していた。

「成年後見制度の運用を所管する家庭裁判所は、私たち家族の意見にまったく耳を傾けず、“裁判官が決めたことだ”と言って一方的に押しつけてきます。成年後見制度を利用して良いことは一つもありません。不安と怒りが募って夜もよく眠れない。ストレスが溜まる一方で、このままだとストレス死しそうです」

母親は「成年後見制度なんて利用するんじゃなかった。利用を止めたい」と何度も口にしていたが、母親が生きている間は、その願いが叶うことはなかった。

だが今年8月24日、急転直下、事態が大きく動いた。

さいたま家裁川越支部の小島法夫裁判官が、娘に成年後見人をつけた2012年の家裁の審判(判決)を取り消したのだ。これにより、娘は成年後見制度の対象から外され、それまで家裁がつけていた弁護士後見人らも娘の財産管理などの権限を失った。母親の願い通り、成年後見制度という桎梏から解放されたのだ。

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