裁判所から「娘の後見人」の立場を奪われ、人生をメチャクチャにされた夫婦…その「戦いの記録」

長谷川 学 プロフィール

「決まった時間に会社に行って帰ってくる規則正しい生活を送っています。買い物は自分ででき、妻の死後は、私と自分の食事を娘が作ってくれます。ほとんど言葉を話さないことから、家裁は、娘には常に判断能力がないと判断したようですが、言葉を話さなくても、こちらの言うことの意味はわかっているのです。家を売ったりするような契約を娘がすることはないのだから、法律専門家の成年後見人は娘には不要です」(誠二さん)

 

決定を変転させる裁判所

ところが家裁は、あくまで成年後見制度を利用させることに固執した。成年後見を取り消す前に、誠二さんが保佐の利用を家裁に申し立てることが必要だと主張して譲らなかった。

だが、保佐の申し立てを成年後見取り消しの条件とするという条文は法律にはない。このため誠二さんは、家裁裁判官が本来行うべき職務を行わず、誠二さん一家に不利益を与えているとして、さいたま家裁川越支部の小島法夫裁判官を相手取り、昨年8月、東京地裁に国家賠償請求訴訟を起こした。

今年4月の判決で、東京地裁の馬場直史裁判長は、家裁の小島裁判官の行為に問題はないとして誠二さんの申し立てを棄却、小島裁判官の判断を支持した。

ところが不可解なことに、その4ヵ月後、小島裁判官は、急転直下、陽子さんの成年後見開始審判の取り消しを決定した。むろん誠二さんは、家裁に保佐の申し立てをする気がないし、実際、していない。それにもかかわらず、審判を取り消したのだ。いったい水面下で何が起きたのか。誠二さんは「こちらが国賠訴訟を起こすなど、徹底抗戦を続けたため、家裁と弁護士は関わるのが面倒になったのではないか」と推測する。

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