2022.09.19

「ポアンカレ予想」はまだ解けていない!?

数学未解決問題の本質

ポアンカレは数学史上に名を残す有名数学者です。ポアンカレの遺した「ポアンカレ予想」は、数学において非常に重要なものです。ミレニアム問題として知られたこの問題が解決された! というニュースを見たことがある方も多いのではないでしょうか。

でも、この「ポアンカレ予想」が未解決だといったら驚くでしょうか。

この興味深い話を『多様体とは何か』の著者・小笠英志さんが解説します。

1. ポアンカレ予想の文言

まず、数学で「〇〇予想」というのは、数学者が研究をしていて、今までの本人やまわりの人達の研究結果から鑑みて「もしかしたら、こういうことが成り立つのではないか? 皆さんどう思いますか?」と、論文の中や講演などで世に問うたものです。

数学で「予想」というのは「〇〇となるであろう」という形の文言をしています。別の言い方をすれば「〇〇となるであろうか」という問題です。

ポアンカレ予想というのは以下に述べる、ポアンカレが世に提出した問題です。

【写真】ポアンカレ予想を提出したアンリ・ポアンカレ photo by gettyimages

大学入試試験の数学で問題と言った場合は、出題者は答が出るように作るわけですから、作成された時点で答は既にわかっています。

しかし、数学研究において問題というときには、提出した時は誰も答がわかっていない問題なのです。その問題が面白そうだなとか、数学の発展に重要だなと思った人達が、その問題を解こうとアタックします。ポアンカレ予想を、ポアンカレの名を冠して呼ぶようになったのは、そうしたまわりの人達です。ポアンカレ本人が言ったのではありません。

このポアンカレ予想はポアンカレが提出して以来、多くの人達が挑んできました。その挑戦の中で得られた新発見や部分的な解答は数学の発展に大きく寄与しています。

ポアンカレ予想はこのような問題です。

「単連結な3次元閉多様体は、3次元球面に同相であるか。」

クレイ数学研究所というところが、これを解いた人には、100万ドルを差し上げます、としたミレニアム問題(100万ドル懸賞問題)のひとつでした。

さて、初心者の方は、この問題を見ても「単連結」、「 3次元閉多様体」、「3次元球面」、「同相」という数学用語に戸惑うと思います。

まずは、これらポアンカレ予想に出てくる数学用語を、大体こんなものなのかと理解するところから始めましょう。

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