「アクティブ・ファンド」は非合理的?
趣味としての株式投資と、合理的な資産形成を両立することは不可能ではありません。その方法を分かりやすく伝えることを目的に、新刊『マンガでわかる 世界でただひとつの株式投資入門』を書きました。
2019年に刊行してご好評いただいた『マンガでわかる シンプルで正しいお金の増やし方』の続編として、同じく飛永宏之さんにストーリー仕立てのマンガを描いてもらいました。
自分で選んだ個別の株式に投資する株式投資は、奥行きの深い、素晴らしい趣味です。私は心からそう思っています。多くの人に株式投資を楽しんでほしい。
他方、個人の株式投資を資産形成のための手段として合理的なものにすることは、率直に言って簡単ではありません。この現実も理解してください。
これから本格的に投資を始めようと思っている読者の中には、「アクティブ・ファンド」という言葉に魅力的な響きを感じていらっしゃる方がおられるかもしれません。
しかし、プロの運用者が市場平均以上の成績を目指して運用するアクティブ・ファンドと呼ばれる運用商品(投資信託など)の運用成績の平均が、インデックス・ファンド(株価指数に連動するように運用する投資信託)を下回る事実から考えてみましょう。長年にわたって調査されていますが、日本でも米国でも同じです(そうなる理由を、マンガの中で詳しく説明しています)。
また、もう一つ事実を指摘しておくと、相対的に良い成績を生むアクティブ・ファンドを事前に見分ける方法はありません。プロのやり方や、儲けた人の方法を真似すると市場平均に勝てるのではないか、という素朴な期待は成立しません。
この二つの事実を結びつけると、投資家にはアクティブ・ファンドに投資する経済合理性がないことがわかります。「お金の運用が仕事でも趣味でもない人」は、手数料の安いインデックス・ファンドで、本人にとって適当な額を投資するのが正解です。