2020年度の文部科学省の調査によれば、全国の小・中学生のうちで「長期欠席者」は約29万人。「長期欠席」とは、文部科学省によると年度内に30日以上登校していないことを意味するという。

ではそういう状況でどのように「学ぶ」ことができるのか。それを教えてくれるのが、教育ジャーナリストのおおたとしまささんの最新刊『不登校でも学べる 学校に行きたくないと言えたとき』(集英社新書)だ。

これは、フリースクールから不登校専門塾、不登校特例校、教育支援センター、通信制高校、公立校や私立校などを徹底取材、実例やデータも掲載し、令和の今の「不登校」に関する情報をまとめた一冊となっている。

不登校に対峙したとき、大人はどう考えればいいのかというだけではなく、「教育とは何か」「学びとは何か」を感じさせる本書。FRaUwebでは一部抜粋の上再編集したものを短期連載する。第4回・前編では、全日制普通科高校なのに、全国から不登校経験者があつまる北海道の北星学園余市高等学校をご紹介します。なぜ不登校経験者が集まるのでしょうか? 学校からのメッセージも必読です。

自由な服装はバイタリティを獲得する手段

不登校特例校でも通信制高校でもない、制度的にはごく一般的な全日制普通科高校なのに、全国から不登校経験者が集まる学校が北海道にあります。私立「北星学園余市高等学校(以下、北星余市)」です。生徒の多くが、学校近くのアットホームな下宿所に分散して暮らしています。

制服なんてもちろんありません。頭髪も色とりどりだということは事前に知っていました。生徒たちはそれぞれに個性豊かなファッションで学校に登校します。大雪なのに、和服だったり、ヘソ出しだったりします。その意味を教頭の妹尾克利さんが説明してくれました。

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「衣服の乱れは心の乱れなんて、昔は言いましたが、心が乱れているのなら服装にごちゃごちゃいうよりも、心に寄り添えばいいと考えるのが北星余市流です。服装は彼らにとっては自己表現のひとつ。バイタリティを獲得する重要な手段なんです。その自由を奪ってしまうなんてナンセンスです。自由を与えられると最初はいろいろやってみるものですが、次第に落ち着きます」

北星余市は、1988年、高校中退者を積極的に受け入れると宣言しました。キリスト教精神にもとづく社会的使命のようなものが先にあったわけではなく、ぶっちゃけていえば、生徒数減で廃校の危機に立たされての苦肉の策でした。これが全国紙に載り、全国から生徒が集まるようになります。ただし彼らはいわゆる「不良」「ツッパリ」「やんちゃ」で、現在の不登校の子どもたちとはだいぶイメージが違っていました。

時代の変化とともに、学校を追い出された子どもたちよりも、学校に行かないあるいは行けなくなった生徒たちの割合が増えてきます。現在の北星余市では約8割が不登校経験者で、やんちゃタイプは4人に1人程度と少数派です。留年していたり、いちど職に就いていたりして、すでに成人に達している生徒も少なくありません。