2022.09.13

特殊清掃員が思わず絶句した…孤独死した男性が「小銭」を数え続けていた理由

誰にも看取られることなく、亡くなった後に発見される――「孤独死」が社会問題となって久しい。「平和な日本」の裏で何が起きているのか――。遺品整理クリーンサービス会社に所属し、遺品整理やごみ屋敷の清掃、孤独死現場の特殊清掃に従事している小島美羽さんは、実際に立ち会った孤独死の現場をミニチュアで再現し、問題提起を続ける活動を2016年から続けている。

小島美羽さん

「初めは物が物なのでバッシングや、冷やかしが多いだろうと思っていましたが以外にも悪い意見はあまりなく、みんながちゃんと孤独死のことを真剣に考え、自分にも起こりうることなのだと思ってくれていることに驚きました。また、冷やかしをしてくる相手を逆に真剣に考えてくれてる人が渇をいれてくれたり、正してくれたりしていてそれもとても驚きましたし嬉しかったですね」(小島さん)

別居中だった父親が突然死したことをきっかけに、特殊清掃の道を志したという小島さん。彼女を待ち受けていたのは、あまりに過酷な孤独死現場の数々だった――。

『あなたの生きた証を探して 遺品整理人がミニチュアで表現する孤独死の現場』(マンガ/ポレポレ美 原案/小島美羽)

黒々とした人型の染みが…

本記事では前編に続き、小島さんが体験した日々を取り上げる。

入社4日目にして小島さんが初めて訪れた孤独死現場は中層マンションの3階だった。特殊清掃用の作業着に身を包み、マンションに足を踏み入れるや、初めて嗅ぐ「死臭」に困惑する小島さん。部屋には大量のゴキブリが発生しており、ショックで意識を失いそうになった。

『あなたの生きた証を探して 遺品整理人がミニチュアで表現する孤独死の現場』より

「死臭は防毒マスクをつけていてもキツく、頭に刺さるような…五感を刺激する強烈なにおいでした」(小島さん)

小島さんと社長は、男性が孤独死した介護用ベッドを発見する。マットレスには故人の体液が沁み込み、黒々とした人型の染みができていた。

「亡くなった方のカケラを目にした瞬間、キツいにおいが不思議と吹き飛んで…。こんなにくっきり残っているなんて、これじゃあ心配で天国に行けない。綺麗にして天国に行けるよう準備を整えなくてはという思いに駆られました」

  • 『成熟とともに限りある時を生きる』ドミニック・ローホー
  • 『世界で最初に飢えるのは日本』鈴木宣弘
  • 『志望校選びの参考書』矢野耕平
  • 『魚は数をかぞえられるか』バターワース
  • 『神々の復讐』中山茂大