「優良銘柄」をどう見抜くか?
前回は、リスクを抑えながら、他の市場参加者に勝つことを目的とした「趣味としての株式投資」において、初心者がまず知るべきは「ポートフォリオの作り方」であることを書きました。
本稿ではいよいよ、投資銘柄評価の方法についてお話しします。その指標の一つは「利益予想の変化」です。
個々にちがいはありますが、個別企業の株価変動は、半分は株式市場全体の上下、半分はその企業固有の要因によって決まると考えてみると、いい見当でしょう。そして、固有の要因の中で影響が最大なのは、その企業の「利益予想」情報の変化です。
株価は「予想を含めてその時に利用可能な情報」に基づいて形成されます。この理屈をもとに考えると、株価の変動には、
が重要なのです。
理論的には株価は、遠い将来まで含む利益の予想から形成されますが、先のことは誰にも正確にはわかりません。次の決算ないしその次の決算の利益の予想情報が、さらに将来の利益予想にも影響するのが現実です。

ここで大事な情報は、前記の(A)と(B)の「差」です。つまり、たとえば今期の(時には来期の)決算の利益に対する(A)最新の予想を、(B)その前まで最新だった予想と比較することです。
そのためには(B)のデータを持っていなければなりません。投資家によっては注目銘柄ごとに時系列的なデータをストックしているかもしれませんが、「過去の予想」は「新しい予想」が出ると利用できなくなりがちなので注意してください。「過去の予想」を振り返ることができる資料は、たとえば東洋経済新報社『会社四季報』の過去の利益予想がぎりぎり参考になります。