「DNA解析で、すぱっと」では、すべての生物を分類できないわけ

分子と形態、両体系が必要

近年のDNA解析技術の飛躍的な向上に伴って、同種か別種か、種と種の近い・遠いの関係、また複数の種がどのようなグループを構成しているのか、生物の遺伝子配列を調べることで解明できるのではないか。しかし、そう簡単な話ではないという。

クモヒトデ類の、特にテヅルモヅルを専門とする分類学者の岡西政典さん(広島修道大学人間環境学部助教)に分類学の始まりから種概念、分類学の未来を聞いた。

※本記事末尾でインタビュー動画をご案内しています。

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なぜクモヒトデなのか

――岡西先生がご専門とされているクモヒトデについて、同じような分類の仕事をしている研究者は、世界中にどれぐらいいますか。分類以外のクモヒトデに関する研究は、別の研究者が行っているのですか。

岡西:10年くらい前までは、日本に僕と僕の師匠、海外では、オーストラリア、ドイツ、スウェーデンに研究者がいたと思います。世界で10人以下でした。最近、南米や中国に増えてきて、今20人ぐらいはいるんじゃないかと思います。

クモヒトデの生物学的な研究は、分類学とは別の研究者がおこなっています。たとえば、再生の研究があります。クモヒトデは英語でbrittle star、「脆いヒトデ」といいますが、腕が切れてもトカゲの尻尾の様に再生します。そこに注目して、飼育しやすいクモヒトデを使ってどのように再生するか調べている研究者がいます。

また、分類に少し近いところで、化石の研究があります。今まで全然研究されていませんでしたが、クモヒトデの骨は化石にものすごく残りやすいです。ある地層から出た化石になったクモヒトデの種類から、その当時の環境を推定する研究をしている研究者がいます。

【写真】クモヒトデの化石クモヒトデの骨は、化石に残りやすい photo by gettyimages

クモヒトデには他にもたくさん面白いところがあります。発光しますし、クモヒトデが増える時に、真ん中からブチッと切れて半分になってそれぞれ再生して2個体になるという性質があります。けれども、実際まだまだそういったところの研究はされていないのが現状です。

【写真】クモヒトデについて解説する岡西政典さん

――岡西先生がクモヒトデを専門にされたのには、どういう経緯や理由があったんでしょうか。

岡西:正直に答えますと、もう完全に見た目です。

北海道大学で学部2年生の時に、研究室紹介で分類学という学問があることを知って、すごくやってみたいと思いました。4年生で卒業研究になったときに、指導教官から図鑑を渡されまして、対象の生き物を何にするかここから好きなものを選んでいいよと言われました。図鑑をぺらぺらめくって、形が面白かったのでクモヒトデを研究対象に選んだのが実際のところです。

クモヒトデは世界中にたくさんいますが、分類は全然なされていません。環境変動の指標として有用な動物といえばサンゴがありますが、それとはまた違う性質を持っています。クモヒトデを分類して、どこにどんな種がいるか分かれば、環境予測などに役立つんじゃないかと思います。これも研究に取り組む理由のひとつです。

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