2022.09.17
# サイエンス # 科学・技術

ノーベル賞学者・大隅良典博士が危惧する「10兆円ファンド」の問題点…「いきなりそんな大金を手にしたら日本の科学はおかしくなる」

躍進する中国の科学研究「本当の実力」は?

文部科学省・学術政策研究所が先月発表した「科学技術指標2022」調査では、日本の科学力低下と並んで、中国の躍進も注目を引いた。今回、他からの引用回数で上位1パーセント、あるいは10パーセントに入る論文の数で、中国はついに米国を抜いて、いずれもトップに立った。

 

傍目には進境著しい中国の科学研究は、本当はどの程度の実力を蓄えているのか? また、世界最高クラスの研究を促すための支援策として導入が決まった「10兆円ファンド」は、日本の科学力復活の起爆剤となりえるのか? そして、日本は今後自らの立ち位置や存在感をどのように確立していけばいいのか?

前編記事『ノーベル賞学者・大隅良典博士が語る「日本の科学力が低下した理由」…「論文の引用回数がそれほど重要な指標とは思えない」』に続いて、東京工業大学榮譽教授の大隅良典博士に聞いた。

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――今回の調査では、(引用回数で)上位1パーセント、10パーセントの論文数でついに中国が米国を追い抜くなど、中国の躍進もまた注目を浴びています。大隅先生は今の中国の科学力をどう見ておられますか?

大隅 ハッキリ言って、10〜20年前であれば(中国と欧米、日本など先進国の研究とでは)物凄くレベルが違っていたんですが、今の中国は本当に力をつけています。研究のレベルが高くなっていることに加え、若者がどんどんサイエンスの分野に入ってきている。しかも人口が多くて、それなりに研究費もあるという状況なので、当分は中国が(諸外国の研究を)圧倒するのではないかと思います。

もちろん全部ではありませんが、特定の分野では「もう中国にかなわないな」という状況が生まれてきている。たとえばDNAシーケンサ(遺伝子配列の読み取り装置)のような専用の機械を何台も使って、大人数でワッとデータ解析するような分野ですね。タンパク質の構造解析では今や中国が世界をリードしています。

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