「舞いあがれ!」はきっと大丈夫
その点「舞いあがれ!」はどうだろう。
パイロットに憧れるヒロインを演じるのは、福原遥。オーディションで選ばれたが、すでに実績も十分だ。10歳のときには子供向け料理番組「クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!」(NHKEテレ)のメインキャラに起用され、まいんちゃんとして4年間親しまれた。
実写パートの料理や歌、アニメパートの声優と、八面六臂の活躍に加え、その圧倒的な可愛さでも話題に。いわば、天才的な美少女子役が劣化することなく朝ドラ女優に成長したという稀有なケースである。

ちなみに「ちむどんどん」でヒロインを演じている黒島結菜も、ブレイク前にEテレに出ている。高校生向けの教養番組「テストの花道」で勉強のコツを学ぶ部員のひとりに選ばれ、15歳から2年間、出演した。そして、数々のNHKドラマに出演。そのなかには主演した「アシガール」や、助演した2本の朝ドラもある。それもあってか「ちむどんどん」のヒロインにはオーディションなしで決まった。
しかも、舞台は彼女の地元である沖縄。彼女のためにあて書きされたようなところもあるこの朝ドラで逆風が吹くとは、NHKには誤算だったのではないか。
一方、福原はオーディションありだったとはいえ、まいんちゃんとしての実績やさらに上積みされた実力を評価したうえでの起用だろう。黒島と経緯が似ていなくもないだけに、また当てが外れるのではという一抹の不安も覚えてしまう。
ただ「舞いあがれ!」については、わりと大丈夫なのではという気もする。なぜなら今回は大阪制作だからだ。
朝ドラは長年、東京と大阪の交互制作となっていて「ちむどんどん」は東京制作だった。じつはSNSが発達してからのここ数年、ネットで批判されがちだった作品は東京制作のものが目立つ。「まれ」や「半分、青い。」「なつぞら」「おかえりモネ」などである。
では、大阪制作でそういう作品はというと、10年前の「純と愛」あたりまでさかのぼることができる。それくらい、最近は全体的にウケがよいのだ。