製作陣の発言は聞こえてこないが
なかには「カムカムエヴリバディ」のように、挑戦的な作風を提示して一部の熱烈な支持を集めた作品もある。
制作統括は「ながら見」ではない人に「恥ずかしくない」ものを作るとか、英語嫌いな人がいてもやる覚悟だと発言し、三人のヒロインで三代百年の歴史を描くことについても、
「展開は3倍速で進むというより、3倍濃い」
と、胸を張っていた。

これに対し「ちむどんどん」のプロデューサーもやはり挑戦的だった。「朝ドラは、15分間で息も切らせぬテンションで描くサスペンスフルなドラマでもないですし、それが求められてもいないと思う」として、
「一人の女の子の何十年という歳月を濃く描きたい。百年を描くより、50年を描く方が倍くらい細かく、一見どうでもいいことも描ける」
というドラマ観を披露していた。
「ちむどんどん」のアンチには「カムカム~」と比較しながらけなす人が多いが、それもそのはず、両者は目指す方向が違うのだ。今回の分断は、朝ドラをめぐるふたつの志のぶつかり合いが生み出したともいえる。
なお「舞いあがれ!」のスタッフからは、今のところ、こうした挑戦的な発言は聞こえてこない。