2022.09.22
# 鉄道 # 週刊現代

「鉄道ファン」しかほぼ乗らない「JRの赤字路線」は廃止一択...高校へは自転車で通ってください

小倉 健一, 週刊現代 プロフィール

久留里線は「盲腸線」

久留里駅と上総亀山駅で下車して、駅周辺を散策した。

久留里駅には徒歩5分ぐらいのところにセブンレイブンもあり、車通りも結構あったが、上総亀山駅周辺は閑散としていた。駅前には古い雑貨屋が一軒だけ営業していて、昔の木村拓哉さんのポスターがあって懐かしかった。

photo by Gettyimages

上総亀山駅の周辺は、見渡す限り観光資源はなかったが、Googleマップでみると、観光スポットとして、亀山湖があり、久留里線周辺にはゴルフ場がいくつかあった。しかし、これは先にも触れたが、都心からはバスやクルマで来た方が便利で速い。

鉄道トレンド総研の東香名子氏は、久留里線の現状をこう解説する。

久留里線は房総半島の真ん中で線路が止まってしまっていて、外房、つまり太平洋側へ抜けられないままの状態だ。

このように、公共交通機関において営業距離が短く、かつ起点もしくは終点のどちらかが他の路線に接続していない行き止まり路線のことを、人間の体内の臓器になぞらえて『盲腸線』と呼ばれている。

久留里線が赤字の根本的原因は、盲腸線になっていて利便性が低いためだ。だったら、太平洋側まで抜けるように線路を延伸すれば良いと考えるかもしれないが、久留里線と並行するように、小湊鐵道といすみ鉄道を利用して太平洋へ抜けることができる路線が存在していて、久留里線を延伸するメリットは極めて少ない

税金のムダ遣い

この八方塞がりの久留里線について、産経新聞(9月10日付)が報じたところによれば「君津など3市と県、JR東日本千葉支社でつくる『久留里線活性化協議会』は昨年度、沿線地域をサイクリングで回るなど10件のイベントを実施し、549人が訪れた」のだという。549人が往復420円の乗車券を買ったとして、23万580円の運賃収入にしかなっていない。民間会社のJRが営業施策にいくら注ぎ込もうと勝手だが、このキャンペーンは「焼け石に水」としか言いようがなく、協議会につぎ込まれる税金は、ムダ遣いだ。

 

君津市の石井宏子市長は久留里線について「市民生活に欠かすことのできない路線であり、市内外からの観光にも利用されるなど沿線地域活性化の役割を担っている」と7月28日の会見でコメントしているが、これ以上の「延命治療」はお金の無駄遣いだ。

市民生活に欠かせないというが、ほとんどの市民は車生活だ。

年間100万円しか売上しかない路線に、沿線地域活性化の役割を担わせてどうする気なのだろうか。先述の産経新聞には「上総亀山駅近くに40年以上住んでいるという60代の主婦は『周りの人は車生活。最近は(同線を)ほとんど利用していない』と話す」とあった。

通学に必要というが、そもそも近くにバスが走っているし、例えば、実業家の堀江貴文氏は中学校時代に片道20kmを自転車通勤をしていたという。久留里駅から上総亀山駅までは、堀江氏の通学距離の半分の9.6kmだ。

君津市は、『ALWAYS 三丁目の夕日』的、昭和ノスタルジーに浸っている場合なのか。街のシンボルというが、久留里線は、30年後の君津市においてもシンボルたり得るのだろうか。 久留里線を走る列車は、首都圏でも珍しい「軽油で走るディーゼルカー」だという人もいる。そんなに希少価値があるというのなら、さっさと久留里城址資料館に車両を納めて過去との決別を図るときだ。久留里線の乗客がもしも1万人増えたところでどうにもならない。赤字路線の延命措置は不要だ。

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