「そうだ、離婚する。“ミカちゃん”と一緒に私をバカにしてるこの男と離婚してやる」
「まずは仕事を探して、お金をもっと貯める」 

結婚式の終わりに母に言われたのは、「もしもなにかあったときのために、自分だけのお金はためておくのよ」。今すぐ離婚したくても、娘にはまだ父親が必要だからと、母の教えを胸にその日に備えるエリコ。

(c)野原広子『人生最大の失敗』/オーバーラップ

50歳を目前に離婚したコミックエッセイに共感の声

第25回手塚治虫文化賞短編賞受賞作『消えたママ友』の作者、野原広子さんの描き下ろし最新作『人生最大の失敗』(オーバーラップ)は、夫の一言をきっかけに離婚を決めたエリコの人生の選択と生きる姿を描いたコミックエッセイだ。50歳を目前に離婚した、自由と孤独、後悔や希望をはらむ女性の人生後半戦の生き方が胸に迫る。SNSでも「現実的な結婚あるあるがぎゅうと詰まってる」「漫画の中の一言のセリフに人生動かされそうになる」と共感の声が集まる。

結婚式では嬉し泣きしたほど「幸せ」と言った夫が、たった数年のうちに「つかれた」「はらへった」しか口にしなくなった。一方のエリコも「夫がいないとスッキリする」。そんなとき、エリコは夫が浮気相手の女性に「人生最大の失敗は結婚だよ」と話しているのを聞いてしまう……。これまで2話に渡り、そんな二人の結婚生活をこれまでお伝えした。数年で会話がなくなった夫婦はどうなるのか。

無料試し読みと野原さんへのインタビューを併せて紹介する記事の第3回は、具体的な離婚のために必要なことを考えさせられる。

20年以上同居の「熟年離婚」が過去最高に

厚生労働省の人口動態統計特殊報告によれば離婚件数は2020年は19万3253組と若干減少気味だが、20年以上同居した「熟年離婚」は全体の21.5%と過去最高の割合になった。 主人公エリコが結婚23年目にして離婚を果たした理由は、過去に夫のとんでもない一言を耳にしてしまったからだ。しかしエリコは怒りに任せてその場で離婚はしなかった。「本当は今すぐ離婚したいけど、菜々にはまだ父親が必要だし、これから受験もあるし」とタイミングを待った。まずは仕事を探してお金を貯め、夫を泳がせ準備を進めた。離婚できたのは、結婚式の日の最後に母に言われた一言のおかげである。

 法律情報サイト「LEGAL MALL」によると、妻が離婚したくてもすぐに決断できない理由は「離婚後の生活が不安」「子どもに寂しい思いをさせたくない」などが挙がるという(ベリーベスト法律事務所より)。「本当は今すぐ離婚したいけど」、「夫との生活が”苦痛“でしかな」くても、娘が旅立つその日まで待ち続けたエリコは、とうとう夫に離婚を突き付けたのだった。