過去の危機と比べて「ケタ違い」だ…
リーマンショック後、世界の金融市場でデリバテイブ取引に関する規制が強化されたが、エネルギー市場は小規模だったことから規制が導入されることはなかった。
いわば「野放し」状態にあったエネルギー市場だが、ロシアのウクライナ侵攻によりその規模が急拡大し、世界の金融市場にとって新たな脅威となってしまったようだ。

エネルギー危機が金融市場に変調をもたらした前例がある。
それは「アジア通貨危機」の際に起きた。
ノーベル経済学賞を受賞した学者らが運用に携わっていたヘッジファンドLTCM(ロングターム・キャピタル・マネジメント)は、ロシア国債などへの投資を高レバレッジで行っていた。
だが、原油価格の急落(1998年6月の米WTI原油先物価格は1バレル=11ドル台だった)で、経済が急激に悪化したロシアで財政危機が勃発。マージン・コールに耐えられなかったLTCMは破綻し、金融危機を恐れた米国政府が救済に乗り出す事態となった。