2022年5月に経済産業省が発表した「未来人材ビジョン」のデータによると、日本の社会人で「社外学習・自己啓発を行っていない人」の割合は46%で、先進国の中でも軒並み低い数字を出しているという。つまり、日本人の多くは「大人になったら勉強しない」人が多いのが現実なのだ。

なぜそのようになっているのか。それによって今日本はどのようになっているのか。ジャーナリストの島沢優子さんが取材、分析する。

島沢優子さん連載「子育てアップデート~子どもを伸ばす親の条件~」これまでの記事はこちら
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競争社会に巻き込まれる小学生

泣いて悔しがるハイジを家庭教師のCMで見るたびに、モヤるものがある。
「勉強してる?」と聞くハイジに「ううん、全然してないわ」と答えるクララ。そこでハイジが「絶対やってるよ」と涙を一滴流す。家庭教師と一緒に勉強しているクララに負けたくない――そんなライバル心が伝わってくる。
よくできていて、どのシリーズも確かに面白い。受験する子どもの「あるある」なんだろう。

最近、教育関連の取材で、小学生が偏差値を言い合ってはマウントし合うと聞いたばかり。友達同士で、誰々は偏差値58だったが自分は60だから勝った、といった話をするという。成績順で席替えやクラス替えがあり、塾講師からも「みんなライバルなんだ」と競争心を煽られる。ゆとり教育が終焉し、はや十数年。日本の子どもはこうやって競争社会に巻き込まれているのかと考えさせられる。

受験勉強していく中、子どもたちは共に励まし合って学ぶ関係になることもあれば、マウントを取り合うような関係になってしまうこともあるという Photo by iStock

このように子どものころは勉強熱心なのに、大人になると勉強しなくなるらしい。
今年5月に経済産業省が発表した「未来人材ビジョン」の中に興味深いデータがある。「社外学習・自己啓発を行っていない人」の割合が46%。わずか2%しかいないベトナムを筆頭に、アジアの他の国は軒並み低い数字を出している。つまり、日本人は大学を卒業してしまうと勉強しなくなる傾向が強いようだ。