2023.05.08
# 相続税

2億円の財産を残して死んだ父…介護しなかった息子2人への遺言書での「壮絶な復讐」

「お前たちに渡す財産はない!」

「遺産争続」という言葉が広く浸透するほど、相続トラブルが一般的なものになってきました。相続人が適切な遺言書を作っておけば安心かと思いきや、それでも相続争いが起こってしまうケースもあります。筆者が相談を受けた事例をもとに、対策を考えてみましょう。

地元に残った次男が同居、家業を継いだ

広瀬孝則さん(60代男性・仮名)は次男ですが、両親と同居してきました。母親は70代で他界、その後、父親が90歳で亡くなるまでは妻や子どもたちと協力して介護をしてきました。

父親は祖父から相続した土地を何か所か所有していて、幹線道路に面した立地を生かしてガソリンスタンドや倉庫業を営んでおり、資産は総額で約2億円。「地域の名士」だと言えます。

孝則さんには兄と弟がいます。

順番的には長男が同居して家を継ぐべきところですが、兄は「家業を継ぐ気はない」と宣言して以来、大学入学を機に実家を離れてからは正月に実家に帰ってくればいいほうで、家業を手伝うことはありませんでした。弟も兄同様で、地元を離れて都会で大企業に就職して、そのまま結婚。そちらで家も購入して家族で住んでいるので、地元に帰ってくる気がないことは明らかでした。

自ずと地元に残った次男の孝則さんが父親と同居しながら、その会社も継承することになったのです。

photo by gettyimages(画像はイメージです)
 

父親は公正証書遺言を残していた

母親が先に亡くなったこともあり、父親は普段から食事の用意や身の回りの世話をしてくれている孝則さんの妻と養子縁組をしていました。80歳を過ぎた頃に相続が気になり始めて顧問弁護士や顧問税理士に相談したところ、孝則さんの妻にも相続の権利があったほうがいいと勧められたからだといいます。

父親はなかなか顔を見せない長男や三男よりも、孝則さんの妻を信頼しているそうで、預金通帳なども預けていたのです。

孝則さんの母親が亡くなった時は、財産は基礎控除の範囲内の預金だけでしたので、すべて父親が取り仕切って相続の手続きをしたため、子どもたちは何も文句は言いませんでした。

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