
カスタマイズ、動画メッセージ、寄せ書きプリントなどが高評価
参加者がアイデアを考える時間に入る前に、発想力とプレゼン力、実現性の3つで審査することも発表された。その後、一人ひとりがアイデアを縦横3マスずつ計9つのマスがある曼荼羅ペーパーに書き落とし、「サプライズなバースデーケーキ」を考えた。ひとりでアイデアを出し終わると、審査員の面々も混じり、参加者同士でアイデア交換。アイデアの共有後は、ペーパーを机に並べ、気に入ったものに星マークをつけて8つに絞った。
1つのアイデアにつき2~3名のチームに分かれ、ブラッシュアップやプロトタイプ作成を実施。アイデアを具体化させるために、粘土や画用紙、ロープ、ダンボール、マジック、風船、クラッカーなども用意された。プロトタイプをつくるチームもあれば、ホワイトボードにわかりやすくまとめるチームもあり、それぞれのやり方でプレゼンに向けて準備していた。

小さな箱のケーキにスマホを差し込み、動画メッセージを付けることができるもの。ケーキの表面に寄せ書きをプリントできるもの。音楽やメッセージが流れるカプセル入りケーキ。さまざまなパーツをみんなで送り、積み木のようなケーキをカスタマイズできるもの。人数やお祝い度を選択し、コック帽なども付いてくる女子会で使えるケーキ。生まれてからこれまでの歴史を追うことができる写真・音声を共有できるケーキ---ケーキに直接かかわるからシーンを演出するものまで多様性のあるアイデアがプレゼンされた。

当初、1チームが優勝という予定だったが、受賞時に3つの賞が設けられることに。WIRED賞を受賞したのは、「つみ木ケーキ」。WIRED最新号が贈られた。「カスタマイズや3Dプリンター活用など、自分たちでつくるプロセスを大切にしているのがいい」(丸山氏)。FabCafe賞は小さなケーキを動画メッセージといっしょに送る「掌(Tanagokoro)」が受賞(景品はFabcafeチケット1万円分)。「圧倒的なプレゼン力と、短時間でのラピッドプロトタイピングを評価しました」(松田氏)。BAKE賞は寄せ書きプリントサービスの「Yosega Cake」。「すぐに実現できるアイデアであり、お客さんからもメッセージをプリントしたいという要望があります」(長沼氏)。
優勝者メンバーのひとりは、寄せ書きが集まって書くことがむずかしいこともあるので、オンライン上で集めてプリントして送ることができたらと考えた。オンラインの寄せ書きサービス、ケーキにプリントするサービスは存在するので実現性が高いも考えました。

今回のケーカソンはアイデアソン寄りとなったがこれまでのハッカソンより参加者の層が異なる印象を受けた。参加者の半数ほどが女性で、お菓子好きや食に関心のあるエンジニアの参加もあり、ユニークな光景だった。
プランナーとして参加した方に参加の動機を聞くと、「新しいテクノロジーがどのような新しい体験をもたらすのかに関心をもっています。食事は生活に密接なものであり、毎日数回、存在する体験です。食とテクノロジーのかかわりに関心をもつ参加者の多様なアイデアに触れたいと思い参加しました」と語る。
アイデアの共有・発表だけでも参加者の熱量が高いことを実感したイベントだった。次回以降、サービス開発まで含めたハッカソンになれば、テクノロジー×お菓子の可能性はより広がり、実現するものもあるかもしれない。今回のケーキはもちろん、テクノロジーが食(とそのシーン)をどのように変えていくのか。この問いはますます多くの人を巻き込んでいくのだろう。
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