「ホンコン・イズ・バック」? 国際的な舞台に帰ってきた香港が「すっかり変わってしまった」理由

国歌を間違えた

11月13日、韓国インチョンで行われた7人制ラグビーのアジアラグビーセブンズ韓国大会の韓国対香港戦で、香港チームを紹介する際に国歌を間違えるという「事件」が起きた。

だが、今回の国歌取り違えは香港で大きな騒ぎに発展した。というのも、会場で流れたのは香港の主権国・中国の「義勇軍行進曲」でなかったばかりか、あろうことか2019年の香港デモでデモ隊がテーマ曲のように歌った「願榮光歸香港 Glory To Hong Kong」(以下、「香港に栄光あれ」)だった。香港は大騒ぎになった。

2019年の香港デモ〔PHOTO〕Gettyimages
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試合の場では、すぐにアジアラグビー協会にクレームが入ったようで、香港チーム勝利後には中国国歌「義勇軍行進曲」が流れた。

だが、香港の親中派は激昂し、「国家安全法違反だ!」と噛み付いた。昨年末の選挙で親中派一色になってしまった立法会(最高議決機関)議員たちが次々に、「わざわざネットからダウンロードされた曲を流した意図は?」「決して単純な事件ではない。何か裏があるはず」「韓国を制裁せよ」「国安法警察を現地に派遣して徹底的な捜査を!」などと騒ぎ立てた。さらには、流れる曲を前に戸惑いの表情を浮かべた選手たちを標的に、チームの解散まで叫ぶ議員も現れた。

韓国の主催者側も香港側の騒ぎ方にきっと驚いたに違いない。スポーツの大会で国歌を間違えるのはこれまでにも時々起こってきたことだという。香港メディアによると、当の韓国も2018年に参加したアジアサッカーU19選手権(開催地はインドネシア)での対戦時に、なんと北朝鮮の国歌が流れるという経験をしたらしい。

少しずつ明らかになった舞台裏事情によると、一般に国歌は出場チームが提出すべきものとされているが、韓国側は「香港チームからは提出がなかった」と述べた。だが、事件の直後に香港チーム側ははっきりと、「国歌を提出し、受け取りサインまでもらった」と証言している。

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