防衛費増強という「遺言」
安倍晋三元首相の「亡霊」が彷徨っている――。安倍首相秘書官を長く務めた島田和久前防衛事務次官を指し、政府内でそんな噂が広がる。主君の遺言とも言える防衛費増強を巡って積極的な発言を繰り返し、政権の足を引っ張っているからだ。
最近では、日本の防衛費をNATO諸国と同水準のGDP比2%以上に引き上げるか否かについて、海上保安庁の予算は「該当しない」と公言した。
「これまでトランプ前米大統領がNATOに国防費増強を迫っていたことを受け、日本も防衛費を大きく見せようと海保の予算を防衛費に組み入れてきた。かつて島田氏らが仕込んだことのはずなのに、今度は逆のことを言い出した」と、当時の政府関係者は明かす。
島田氏は今年7月、防衛事務次官を退任した。すぐに岸信夫氏の下で防衛大臣政策参与に就いたものの、浜田靖一防衛相により防衛省顧問へ降格させられた。