なぜ日本の税制がダメなのか、「中抜き」を廃した公正な改革を考えてみた

「憂国呆談」第5回 Part2

田中・浅田の憂国呆談、第5回のPart2は、税制と行政DXの闇について、二人が斬り込みます。
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COCOAもマイナンバーもダメダメ

浅田 新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA」だって、2年間で13億円の維持費を投じてまったく使いものにならなかったんだよ。

海外旅行の多い友人は、IPhoneの古いヴァージョンには対応してないっていうからわざわざ新しいのに買い換えてダウンロードしたものの、最後まで何の通知もなく、しかも「COCOA」を完全に削除しようとしたら一苦労だったって言ってた。

パンデミック下の緊急対策として国費を投じてつくったんだから、この惨状には誰かが責任を取るべきでしょう。

電子政府はプライヴァシーのない監視社会にもつながり得るし、情報漏洩リスクもつきまとうけれど、非効率で恣意的な旧来の官僚制を打破するメリットは大きい。それで所得や資産を正確に補足し、累進課税を徹底すればいいわけ。

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浅田 従来それが全然できてなかったから逆進性の高い消費税に頼ってきたわけだけど、ディジタル化の波が押し寄せた今こそ財務省・国税庁はそちらに舵を切るべきでしょう。消費税も含めて税を透明化・効率化・公平化し、給付金も必要なとき必要な人にスピーディに給付できるようにする、そのため本格的な「国民総背番号制」を導入するって堂々と言い切ればいい。

「マイナンバー」とかいうマヌケな名前をつけ、「マイナポイント」を付けるから多くの国民に「マイナンバーカード」をつくってもらいたいとか、そんなノンキなことを言ってるんじゃ話にならないんだから。

Photo by Shinya Nishizaki

田中 簡単な話で、番号取得者には自分の口座にコロナ禍を始めとして国からの支援金が振り込まれる仕組みにすればいい。カナダでもそうだよね。登録しなければ、国からのお金は来ません、とすれば全員入らざるを得ない。そもそも国家権力は管理が仕事。「夜警国家」でさえ管理しているわけで、その管理をいかに最小限にしてフェアにできるか、ということを考えるべき。それが「強権国家」ではなく「民主国家」のあり方。

浅田 そう、あれほどプライヴァシーにこだわるアメリカだって、かなり前から社会保障番号(Social Security Number、略してSSN)があるわけでしょう。日本も税金や社会保障給付金をマイナンバーで一括管理し、抜本的に透明化・効率化・公平化すべきなんだ。

田中 明治学院大学の石原俊が、マイナンバーカードのようなアメリカの「ソーシャル・セキュリティ・ナンバー・カードは『持ち歩かない』が基本。持ち歩く必要がある運転免許証や健康保険証と一体化させるのはリスクが大きく、現政権の方針は端的におかしい。米国での在外研究時にSSNカードを取得したが、個人情報漏洩リスクがあるから持ち歩くなという注意書きを渡された」ツイートしている。

日本でも当初は持ち歩くなと「公報」していたのに、カード取得が国民の半数に留まると判明すると、日本人が大好きなポイント制で釣りはじめた。

しかも健康保険証と免許証と一体化するという本末転倒な弥縫策(びほうさく)だ。カードをなくしたら、再発行まで運転できないどころか病院も行けないのかよ。想像力が欠落した、国家が国家たり得ていない日本国の思考回路に思わず言葉を失うよ。

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浅田 電子政府化は不可避だし、パンデミックのような緊急事態を考えれば必要でもある。それを拒否するんじゃなく、中国のような独裁的管理社会化を防ぐ仕組みをつくりながら、慎重に、しかしスピーディに進めるべきだと思うね。本格的なディジタル化によって税が透明・公平になるとしたら、そのメリットの方が大きいから。

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